情報の持ち出しや横領など、社内の不正行為に気づくのは難しいものですよね。しかしながら、不正行為があった時は、何らかの「異変」が生じる場合があります。それらを見逃さないようにすれば、早い段階で不正行為に気づくことができるかもしれません。今回は、富山県の「JAなのはな」で発生した情報漏洩事件を参考に、不正行為対策のポイントについて考えてみましょう。
【参考】
・https://megalodon.jp/2024-1205-2031-52/https://newsdig.tbs.co.jp:443/articles/-/1540667
■JAなのはなの元職員が情報を不正に持ち出し、転職先で顧客を奪う
2024年11月7日、富山県の「なのはな農業協同組合(JAなのはな)」が、共済契約者ら約3700人分の個人情報が漏洩したおそれがあると発表しました。1月に退職した元職員の男性が、これらの情報を無断で持ち出した可能性があるというのです。
JAなのはなでは、3月以降に共済契約の解約件数が不自然に増加。これを受けて詳細を調べたところ、元職員が担当した契約に解約が集中していることが判明しました。その上、端末の使用履歴を調べた結果、元職員が退職前に契約者の情報が載った台帳を印刷していたこともわかったのです。
元職員は保険会社に転職しており、JAの確認に対し「転職先の営業に使うために印刷した」と話したとのこと。要するに、JA時代の顧客を奪っていたわけです。「印刷した台帳は退職前に廃棄した」とも証言しているそうですが、確実に廃棄したという証拠はなく、外部に流出した可能性が否定できません(状況的に流出したとみるべきでしょう)。
JAなのはなは警察に相談するとともに、情報漏洩の対象者に個別に通知しているとのことです。捜査の進展次第で、元職員は刑事責任を問われることになるでしょう。
■情報管理の徹底と、「異変」を見逃さないことが情報漏洩を防ぐ!
今回の事件におけるJAなのはなの対応には、評価すべき点と批判すべき点があります。
評価すべき点は、解約件数の不自然な増加という「異変」を見過ごさず、解約の内訳から元職員が犯人であると推定し、さらに端末の使用履歴という証拠も押さえたこと。この適切な対応によって、元職員に事実をある程度認めさせることができ、警察への相談につながりました。わけもわからず顧客を奪われ続ける事態は防ぐことができたわけです。
一方、批判すべき点は「元職員の退職前(もしくは直後)に不正に気づくこともできたのではないか?」ということ。約3700人分の台帳を印刷するというのは明らかに異常ですから、もっと早い段階で確認していれば、「あいつ何かやってるな!」と気づくことができた可能性があります。つまり、端末の使用履歴の定期チェックくらいやってくださいよ……という批判が成り立つのです。
情報漏洩を防ぐためには、何よりもまず情報管理体制を整備し、情報の適切な取り扱いと不正行為の防止を徹底すること! さらに、売上や端末の操作ログなどに何らかの「異変」が起きていたら、決して見逃さず不正行為を疑うこと! この2つが鉄則です。そして、もし怪しい動きを見せている職員・従業員がいたら、その人物の素行調査も検討してみてください。
■社員素行調査は、スマイルエージェント本部にお任せ!
転職した職員・従業員による情報の持ち出しは多発しており、今回の事件のように実際に顧客を奪われてしまったケースもあります。会社を守るためには、不審な出来事に早期対応することが大切です。探偵の素行調査は、その手段の1つとして活用できます。お困りの際は、スマイルエージェント本部までお気軽にご相談ください。