
情報の無断持ち出しは、企業が絶対に防がなければならないトラブルです。情報持ち出しの理由や方法はいろいろ考えられますが、特に多いのが転職者による持ち出しで、大きな問題になっています。
転職を有利にするため、元の職場の情報を持ち出すケースは珍しくなく、十分に警戒しなければなりません。今回は京都で発生した患者情報の持ち出し事件を参考に、情報管理の重要性について考えてみましょう。
【参考】
・https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20240909/2010020929.html
■元の職場から患者情報を持ち出し、転職先に漏らした看護師が逮捕
2024年9月9日、京都市西京区に住む看護師の女が、個人情報保護法違反と保健師助産師看護師法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕されました。容疑の内容は2022年5月頃、当時勤務していた診療所から患者89人の医療情報を無断で抜き取り、転職先の診療所に漏らしたというものです。
持ち出した情報は患者名や生年月日、病名などで、転職先のパソコンにこれらのデータが保管されていました。容疑者は転職活動を有利にする目的で、元の勤務先から患者のデータをコピーし、転職先に提供したとみられています。容疑者は警察の調べに対し、「個人情報をコピーして持ち出したことは間違いないが、自分の利益を図るためではない」と容疑を一部否認しているとのことです。
とはいえ、京都新聞の報道によれば、実際にコピーされた患者情報は約300人分にも上るといいます。そのうち約90人(おそらく上記の89人のこと)が、転職先の診療所の訪問看護を受けていたそうですから、元の職場から患者を奪った可能性は非常に高いでしょう。つまり、すでに実害が出ていたのです。
残る200人強も、事件が発覚しなければ転職先に奪われていたかもしれません。患者の個人情報が関わる重大な事件なので、さらなる捜査が望まれます。
■転職者に顧客を持っていかれるケースは珍しくない。調査で対策を!
今回の事件は、元の職場の顧客情報を手土産に転職を果たした、典型的なケースといえます。情報を持ち出した理由は、単に転職を成功させるためだったのかもしれませんし、転職先から金銭や待遇といった見返りを得ていたのかもしれません。今後の捜査次第では、転職先も罪に問われる可能性があります。
そして、今回の事件の大きなポイントは、実際に約90人もの患者(=顧客)を奪うことに成功しているという点です。「そんなに簡単にできるものなの?」と思うかもしれませんが、業態によっては不可能ではありません。
容疑者の勤務先は、転職前後ともに訪問看護を行っている診療所です。訪問診療や訪問看護の担当者と患者の距離は非常に近いため、「病院」よりは「その医師や看護師」の世話になっていると考える患者や家族は多いでしょう。
※容疑者が奪った患者の訪問看護を実際に担当していたのかは不明です。
となれば、「お世話になっている◯◯さん」が他の病院に転職した場合、「じゃあ次から転職先と契約しますよ、私は◯◯さんが担当じゃなきゃ嫌だ」となっても、まったく不思議ではないのです。他の業種においても、やり手の従業員が転職した際に、顧客をごっそり持っていかれてしまうケースはいくらでもあります。
しかし、いくら顧客が望んでいても、勝手に顧客の情報を持ち出すのは許されません。怪しい動きをしている従業員がいる時や、実際に顧客を奪われた・データを持ち出された形跡がある時は、すぐに実態を調べてみる必要があります。探偵に調査を依頼すれば、同業他社の人間と接触しているかどうかなどを調べられますから、まずは相談してみましょう。
■社員素行調査は、スマイルエージェント本部にお任せ!
転職者による情報持ち出しは、まったく気づかないケースも多々あるのが恐ろしいところです。なぜか業績が悪化している場合、もしかするとその原因は、転職者が情報を漏らしているからなのかもしれません。
どれだけ真面目そうな従業員でも、退職・転職する際に情報持ち出しを画策している可能性は十分あります。「何か変だな」と思ったら、すぐに調べてみるのがおすすめです。お困りの際は、スマイルエージェント本部までお気軽にご相談ください。







