もし、自分と同じ職場の人が不倫をしていると判明したら、みなさんはどう思いますか? 「そんな人と一緒に働きたくない」「何らかの処分を下してほしい」と考える方もきっといることでしょう。実際のところ、不倫を理由に会社が従業員を処分することは可能なのでしょうか? ここでは、不倫をした従業員に懲戒処分を下すための条件について解説します。
■不倫をしたというだけでは、懲戒処分は下せない
最初に確認しておくと、単に「不倫をした」というだけで懲戒処分を下すことはできません。なぜなら、不倫はあくまでもプライベートの問題であって、業務とは直接関係ないからです。不法行為のため慰謝料請求などの対象にはなりますが、それは不倫の当事者および配偶者間で解決すべき問題であり、会社が干渉していい話ではないといえます。
また、就業規則で「不貞行為があった者は懲戒処分の対象とする」などと定め、労働基準監督署に提出して受理されたとしても、その規定が有効になるとは限りません。というのも、労働基準監督署は就業規則の内容の有効性までは判断しないからです。規定を設けるのは自由ですが、実際には事例ごとに処分の妥当性を争うことになるでしょう。
■不倫を理由とする懲戒処分が認められる条件
懲戒処分の有効性については、労働契約法第15条において「当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は無効になると定められています。逆にいうと、「合理的な理由があって社会通念上相当である」のならば、その懲戒処分は認められるわけです。
不倫を理由とする懲戒処分の場合は、「不倫によって会社に損害を与えた」ことが証明できれば、有効であると認められる可能性があります。判例もいろいろあって線引きが難しいのですが、一般的には以下のような条件が求められます。
・不倫相手が自社の従業員やその配偶者、もしくは取引先の関係者である
・不倫に関係する行為をしたのが勤務時間中である
・不倫に関係する行為をしたのが自社や取引先の関係施設内(出張時の宿泊先を含む)である
・不倫によって職場の風紀・秩序を乱し、他の従業員の就業環境や会社の業績に影響を与えた
・関係先に噂が広まるなどして、会社の取引や社会的な評価に悪影響をもたらした
・社内の上下関係などを利用して行為を強要していた(セクハラや強制性交であった)
・不倫相手が妊娠・出産・中絶した
■状況次第では会社として不倫調査を行いましょう
前項の内容を簡単にまとめると、従業員の不倫に対して懲戒処分を下せるのは、いわゆる「社内不倫」もしくは取引先を巻き込んだケースであるといえます。もちろん、一口に懲戒処分といっても、口頭注意に過ぎない戒告から懲戒解雇までさまざまです。基本的には、相当悪質なケースでない限り、「社内不倫をしたから解雇」というわけにはいきません。
そして、どのような処分を下すとしても、まずは証拠を押さえて事実関係を確定させる必要があります。従業員のプライバシーにも関わる問題なので難しいところではありますが、会社の業績や評判に悪影響をもたらす可能性があるなら、会社として不倫調査を行ってみてもいいでしょう。取引先が関わっていると思われる場合は、特に迅速に対応してください。
■問題を起こす従業員の調査は、スマイルエージェント本部にお任せ!
不倫に限らず、従業員のプライベートでの行動が会社に悪影響を及ぼすことはしばしばあります。懲戒処分にふさわしいかどうかはともかくとして、従業員が問題行動を取っているのなら、できる限り早く改善させなければなりません。不審な行動を見せている従業員がいる時は、ぜひスマイルエージェント本部に調査をご依頼ください。